クライアント「お前がWebアプリを修正してから動きがおかしくなった、弁償しろ」
ボクがまだフリーランスになりたての頃の話です。契約していたクライアントから「お前がWebアプリを修正してから動きがおかしくなった、弁償しろ」と怒られたことがあります。真夜中の1時頃の事でした。
お前これ、前任担当者のバグじゃねーかよ!
突然そんな連絡をもらい飛び起きたボクは、すぐにWebアプリの動作を調べました。
しかし、ボクが修正した部分の動作は至って正常。問題があったのは、過去に別のフリーランスが修正した箇所でした。とんだ八つ当たりですね!ボクが手をつける前のバージョンでもバグは再現したので、潜在バグということで間違いありませんでした。
ボクはその旨をクライアントに伝えました。なのにこのクライアントときたら!
ボク「クライアントさん、これは過去のバグです。ボクがお仕事に着手する前から発生していたバグなんですよ!」
クラ「いや、そんなバグは前はなかった。絶対になかった。」
ボク「見てください、前のバージョンでもバグが発生します」
クラ「発生しない!」
ボク「よく見てください!してるんです!」
クラ「前はしてなかった。リリース前に会社の人間全員でバグ検査をしたんだ。でもそんなバグは発見されなかった。」
ボク「それが潜在バグというものです。」
クラ「そんな事より!このWebアプリは多大な金をかけて作ったんだ。それに広告費だってかかってる。ちゃんと元通りに直らなかったら損害賠償を請求するからな!額は200万円だ。」
ボク「ちょっ!!なら前の開発者と話をさせてください。前の開発者なら、このバグのことについて知っているはずです。」
クラ「前の開発者とは連絡がとれなくなったから、しらん。」
ボク「んなアホな!」
見ての通り、モンスタークライアントの典型ですね!
この時のボクは今以上に未熟だったため、クライアントの契約時に自分を守るための条項を全く組み込んでいませんでした。
・改修前のバグに対して、責任を負わない
・損害が発生した場合、金額の上限は依頼料を超えては支払わない
(ちなみに、当時ボクが頂いていた依頼料は12万でした。)
このような条項が契約に含まれていたら、とばっちりで200万円を請求されることはなかったはずです。ボクは契約に関してあまりに無知すぎました。
お前、言うことはそれだけかよ!
結局、ボクが徹夜で潜在バグを修正したことで、その場は丸く収まりました。
ボク「バグを修正しました。ご覧ください。やはりこのバグは改修前から存在するものです。(ソースコードの比較を見せながら)開発の知識が少しでもある方に確認していただければ、一発で納得いただけるバグです。」
クラ「そうですか。それはそれは・・・。」
ボク「はい。」
クラ「すみませんでした。ところで、Webアプリの改修箇所なのですが、実はユーザ登録画面のデザインも少し変更を加えたくて・・・」(←バグとは別の話をしています。)
ボク「・・・。」
ボクはこの後、速攻でクライアントとの契約を解除し、二度と関わることはありませんでした。
この事について思った事と、後日談
トラブルが起きた時、勝敗を決めるのは契約書の内容です。
この事件があった翌日、ボクは契約書関係の書籍を買い漁りました。そして個人事業主の損保も検討しました。
ボクは一人で仕事をしていくことが怖くなったんです。プログラムが締め切りまでに完成できるかという恐怖心に加え、プログラムが完成した後に無茶な言い掛かりをつけられたりしないかという恐怖心がボクを苦しめました。会社員だったころにはなかった苦しみです。
モンスタークライアントは今でも怖いです。
長くなりましたが、久しぶりに思い出したので記事にしてみました。機会があれば契約関係の記事も書きたいと思います。フリーになることを考えている方はどうか参考にしてください。そして契約が大事だということを忘れないでください!